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2012年10月14日 (日)

ANAグループの旅客機

機種別のリスト作成、機材の大きさ別の考察が終わったので、最後に会社別の考察。

グラフは、

  コミューター機(80席未満, グループ内のコミューター航空運行のYS-11はこちら)
  国内線向けの双発ナローボディ機(グループ親会社運行のYS-11はこちら)
  国内線向けのワイドボディ機(多発ナローボディ機を含む)
  国際線向けの機材

という、大きく4区分で描いた。多発のナローボディ機(DC-8や727)はジェット黎明期の機材であり、ワイドボディ機で置き換えられたと考え、ワイドボディ機のカテゴリーに含めた。

JALは経営統合があって複雑なので、まずはANAグループを考察し、大きな流れを把握する。

なおANAグループの場合、国際線で運用されたL-1011と747SRは運用時期が判然としないため、777-200の元国際線仕様は運用時期が判然としない事と当初より頻繁に国内線での運用があったようであるため、すべて国内線向けとして集計している。

ANAグループの現有機材は、2012年4月時点で、コミューター機21機, 1,500席、国内線向けナローボディ機70機, 10,400席、国内線向けワイドボディ機67機, 24,000席、国際線向け機材59機, 約12,700席、合計217機, 48,600席という陣容である。

Ana

コミューター機は、まず1974年からエアーニッポン(ANK, 当時は日本近距離航空)のDHC-6が、1978年からはANKに移籍したYS-11も運行された。
その後エアーセントラルのフォッカー50をはさんで、2001年からANAウイングス(AKX)のDHC-8-Q300とDHC-8-Q400に置き換えられていった。
コミューター機は、空港の滑走路延長に伴って機材の大型化やジェット化が行われる場合があり、一概に後継機を挙げることが適切でない場合があるが、おおよその変遷は下図のとおりである。

2011年からは、Q300型の退役が始まり、Q400型への機種統一が進められている。2012年4月現在、DHC-8-300が3機、DHC-8-400が18機、合計21機の陣容である。

Anacommuter

国内線向けの双発ナローボディ機は、1970年時点ではフォッカーF27がまだ残っていたが、程なくYS-11へ置き換えられ、737-200の導入も進んだ。これらの2機種による40機以上の状況が1990年まで続いた(ANKのYS-11を含む)。

1991年から、A320による置き換えが始まり、1995年からは737-500も加わった。また1998年からはA321、2000年からは中古の747-400も2機導入され、2004年4月時点でこれら4機種による62機となった。
737-200は主にA320で、YS-11は主に737-500で置き換えられ、A321はワイドボディの767-200の置き換えであったと考えられる。

その後、2005年から737-700の導入が始まる一方、A320の初期導入機やA321の退役が始まった。さらに2008年からは737-800の導入も始まり、2012年4月現在、A320が21機、737-500が16機(他にADOに7機が移籍)、737-700が16機、737-800が17機、合計70機の陣容である。
2004年以降の動きは、機材の大きさに関係性が見られず、ワイドボディ機を含めたフリートの再構築(とボーイングへの統一)が行われていると考えるべきだろう。

今後は、737-800が10機発注中であるがA320を代替する規模ではなく、また737-500の後継機も明らかにされておらず、エアバス、新旧737の混成編隊がしばらく続くと思われる。

Ananarrow

国内線向けのワイドボディ機は、1970年時点は727-100から727-200への移行途中であり、1974年に完了する。平行して1973年からL-1011の導入も始まり、1978年半ばまでに2機種合わせて47機が導入される。
しかしそれも束の間、1978年末から747SRの導入が始まり、かわって727-200、L-1011の一部が退役し、1983年4月時点では、3機種合わせて56機となった。

次いで、1983年から767-200の導入が始まる。導入時期や機数から、767-200は、主として727-200の後継として導入されたとみることができる。
767-200の導入が終わると、1987年から767-300の導入が始まる。727-200の退役が終わった1991年4月時点では、L-1011、747SR、767-200、767-300の4機種による71機となった。

1992年から747-400Dの導入が始まり、引き続き、1995年から777-200、1998年からは777-300の導入が始まった。この間、L-1011、747SR、767-200の退役が始まる。L-1011の退役が終わった1999年4月時点では、747SRが12機、747-400Dが11機、767-200が18機、767-300が35機、777-200が12機、777-300が4機、合計92機という最盛期を迎える。
L-1011は、早期退役機は747SRで、中期は767-200で、最終期は767-300と747-400Dで複合的に置き換えられていると読み取れる。

その後、747SR、767-200の退役を進める一方、777-200/300の増備を進め、2006年4月時点では、747-400D、767-300、777-200、777-300の4機種による70機に整理された。
747SR、767-200を補うほどの777の導入は行われず、22機の減少となっている。一部はA321などのナローボディ機で置き換えられた他、バブル崩壊後の経済情勢や、羽田空港の沖合展開、伊丹空港の多発機の乗り入れ禁止になどに対応するフリートの再構築が行われたと考えられる。

その後は、747-400Dの退役を進めながら、2011年から787の導入が始まり、2012年4月現在、747-400Dが8機、767-300が32機、777-200が16機、777-300が7機、787-8が4機、合計67機の陣容である。

今後は、777-200/ERの国内線仕様と、787の増備が予定されており、それに応じて767-300の初期導入機の退役が進むものと考えられる。

Anawide

最後に国際線向けの機材。
ANAの国際定期便への進出は1986年であり、当初はL-1011を使用し、順次747-200Bの導入を進めた。747-200Bに引き続き、767-300/ER、747-400の導入を進め、747-200Bの導入が終わった1991年4月時点では、これら3機種による11機となった。

その後、747-400の導入が終わると、引き続き1999年から777-200/ER、2004年から777-300/ERの導入が始まる一方、747-200Bの退役がはじまった。747-200Bの退役、777-200/ERの導入が終わった2007年4月時点では、747-400、767-300/ER、777-200/ER、777-300/ERの4機種による48機となった。

その後、747-400の退役を一気に進めるとともに、787の導入や、A320、737-700/ERなどアジア路線向けのナローボディ機も加え、2012年4月現在、767-300/ERが25機、777-200/ERが7機、777-300/ERが19機、787-8が2機、A320が4機、737-700/ERが2機、合計59機の陣容である。

767-300/ERは、この間導入し続けられてきたが、787の導入が始まり、今後は初期導入機の退役や、場合によっては国内線への転用も考えられる。
747は、200B型は747-400と777-200/ERで、747-400は、777-200/ERと777-300/ERで置き換えられたと考えられる。
国際線向け機材については、国内線で見られたフリートの再構築の動きは見られない。

Anaint

全体として眺めると、1970年代は国内線向けワイドボディ機の増備期、1980年代は小康期、1990年代はYS-11のジェット化とワイドボディ機の大量増備期、そして国際線への進出期、2000年代は国内線のフリート再構築期と国際線の躍進期といった特色が見えてくる。

特に2000以降は、国内線ではワイドボディ機の整理とナローボディ機の増備が進み、機数は横ばい、席数はやや減少というダウンサイジングが急速に進んでいるのに対し、国際線はダウンサイジングを進めつつ、機数、席数ともに伸ばしており、国内線のプレミアムクラスの充実とともに、フルサービスキャリアの道を邁進している事がわかる。

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